013 2030年、エクサスケール

「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」という予言(というより予測)は衝撃的です。2011+16=2027年ごろ、世の中が激変していることを示唆しています。

008で、シンギュラリティを紹介しましたが、2045年ごろ、テクノロジーの進化が無限大となる「特異点」を迎えるというのです。コンピュータの進化は1年で2倍とされています。2011年を1とし、2045年までのグラフを描けばこうなります。グラフ上、2033年ごろまでは、ほぼ横軸に接しており、進化が見られない状態です。

013-1

ところが、2011年を1とし、2027年までのグラフを描き直すと、こうなります。若干、カーブがなだらかになりますが、おおむね、形は変わりません。縦軸の数値がけた違いです。2045年までを見ると、2033年まではほぼゼロ回答なのに、2027年までを見ると、猛烈に進化しています。

013-2

シンギュラリティは2045年を特異点としていますが、それは突然やってくるのではなく、いくつもの驚異的な進化を経て、限界点へ到達するのです。シンギュラリティの前段階、プレ・シンギュラリティをテーマとして取り上げてのが『エクサスケール』です。

2030年ごろ、コンピュータの処理能力が現在では想像もつかないレベル、エクサスケールに到達するというのです。ちなみに、2016年から2045年を見たとき、2030年はちょうど中間点です。2016年を1とし、2030年までのグラフはこうなります。

013-3

2023年ごろまでの進化がゼロに見えるほどの進化が現れます。指数関数的な進化とは、直線的な進化とは異なるので、初期は非常にゆっくり進み、後半、猛烈に加速します。なので、現在まだそんなにたいしたことないから、という感覚が全くあてになりません。

2030年ごろ、どんなことが実現するかというと、現生人類25万年の悠久の歴史の中で、初めて衣食住に関する不安から解き放たれ、その後、労働から解放され、続いてお金から解放されるとのことです。さらに、人類はあらゆる病気を克服して不老さえも実現し、自由に使うことのできる無限とも言いうる時間を、安定して長期に保障された生活のなかで手にすることになるそうです。

これは、究極の到達点に思えますが、シンギュラリティからすると、「ゼロ回答」のレベルです。すなわち、社会的な変化であり、人間自身におけるものに過ぎず、人間とテクノロジーの融合には至っていないので、ポストヒューマンではない、現人類における進化に過ぎないというのです。

なんとも、凡人の私にはSFを越えたオカルトにしか見えないのですが・・・
かといって、15年後、今と同じ社会のままということがあろうはずもない。

013-4

『エクサスケール』の著者、齊藤元章さんは、次世代コンピュータ開発に関わる日本人技術者です。こう言います。
「生命や、進化や、宇宙について深く思索を巡らせて、我々が、そして我々の進化が向かうべき方向性を、しっかりと見極めるべきではないだろうか」

この視点は『シンギュラリティ』には見られません。

「その方向性を見誤るようなことがあったときには、最悪の場合、我々は本来であれば望むべきではない不適切なかたちのテクノロジーを、我々の『脳』に融合させてしまう事態が生じる可能性がある」

どちらかというと人文社会系である私の目には、シンギュラリティがバラ色の未来には見えません。むしろ、人類は発明や発見を最初から適切な形で使いこなしたケースは歴史上ないのではないでしょうか。人類は、善人ばかりではありません。そういう私にもさまざまな欲や煩悩があり、とても聖人君子ではありません。

このたびのテクノロジーは、人類が神の座を取って代わりかねない超弩級の文明の進化です。それが、ごく短期間に、一気に訪れる。人類は、適切に対応できるでしょうか。残念ながら、その可能性は、極めて低いと言わざるを得ません。『シンギュラリティ』には、戦争スタイルの進化が描かれています。シンギュラリティによって、戦争がなくなるのではありません。戦争がバーチャル化して、だれも傷つかず、誰も死なないスタイルとなるなら、それでもよいでしょう。それを、私の知っている概念ではゲームと言います。が、おそらく、戦争は戦争でしょう。

衣食住が満ち足りれば戦争はなくなるのかというと、恐らくそうではない。戦争とは、欠乏とは別の動機によって起きることが多いです。シンギュラリティによってそれを解決することはできないのでしょうか?

『エクサスケール』では、続けてこう言います。

「それは、もしかしたら人類を破滅に向かわせるかもしれないし、新しい超知性体に単に利用されるだけの将来を規定してしまうかもしれないのである」

ほぼターミネーター状態?

「そうした事態が万が一にも生じないように、我々は前特異点を最も理想的なかたちで、最良のタイミングで迎えることで、・・・準備を・・・できるだけ早期に開始しなくてはならない」

テクノロジーの進化に反対したり否定したりしても、止められません。むしろ、そのような抵抗は、最悪の事態を生じかねません。最善は、「最良の準備」ではないでしょうか。バラ色の未来はあり得ないでしょうが、少なくとも、今よりいくらかでも良いと思えるような未来を子どもたちに渡していきたいものです。
 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください

PAGE TOP