2015年8月 | 今日もいい天気のブログ記事

人と防災未来センターへ行くことのきっかけになったひとつです。

以下、モモさんが書いた文章です。

*    *    *

数カ月前に、『死都日本』(石黒耀著、講談社、2002年)を読んで、衝撃を受けました。
ここ数年間に読んだ本の中では、私に最も影響を与えた書です。

「破局噴火」という言葉をご存知でしょうか?
地震でも、津波でも、洪水でも、災害が直接の原因となって
国が滅びることはありません。
どんな大地震でも、です。

ところが、火山の噴火では、一発の噴火で国が滅びることがあります。
「あり得る」のではなく、歴史上、何度も繰り返してきたのです。
「破局噴火」に対して、科学的にはしっかりした定義がありますが、
まあ、ざくっと、そういうレベルの噴火を言うのだと理解してもいいでしょう。

といっても、そんな噴火は、私たちの人生において経験したことはなく、
まったく想像すらできません。

日本では、60万年に70~80回ほど、そういった破局噴火がありました。
「そんな恐ろしいこと!」といったって、7000年に1回程度だそうです。
直近の破局噴火は、7300年前の鬼海カルデラ(九州と屋久島の間あたり)です。
縄文時代なので、何の記録も残っていません。
日本の有史時代は『風土記』『古事記』以降ですから、せいぜいここ1400年ほどです。

しかし、考古学の発掘調査で明らかになりました。
7300年前の巨大な火山灰層を境に、前後で異なる縄文文化があります。
つまり、その噴火で、西日本の縄文文化が滅亡し、数百年後に別の人々が入ってきたというのです。
その時の火山灰は北海道からもでています。
日本中が火山灰におおわれたのです。
現在警戒されている富士山は、そのような規模の噴火をしたことがありません。
まったくけた違いなのです。

そしてそれは、SFでもなんでもなく、確実に、近い将来、日本で起きるできごとなのです。
破局噴火のサイクルから言うと、そろそろだそうです。
「近い将来」は、軽く1000年ぐらいの誤差を含みます。
つまり、1000年、2000年先まで含めた「近い将来」なのです。

2014年10月のこと、報道がありました。
「日本に壊滅的な被害をもたらす「巨大カルデラ噴火」と呼ばれる火山噴火が100年以内に1%の確率で発生するとの予測を神戸大の巽(たつみ)好幸教授(マグマ学)らがまとめ、22日に発表した。現時点で差し迫っている状況ではないが、最悪の場合は日本の総人口にほぼ匹敵する約1億2千万人が死亡すると試算し、観測や研究の強化を求めた」
http://www.sankei.com/affairs/news/141022/afr1410220036-n1.html

その破局噴火が今起きたらどうなるか、をシミュレーションしたのが、
『死都日本』という小説なのです。

ちなみに、ここで言われている破局噴火は、日本を滅亡させる規模のものです。

7万年前には、インドネシアのトバ火山の噴火により、人類が滅亡しかけました。
遺伝子の研究により、現在の人類は7万年ほど前の数千人を原点としていると
わかっていますが、その状況を生じたのは、火山噴火でした。
日本を滅亡させる破局噴火とは、けたが違います。
その規模の噴火も、そろそろだそうです。
アメリカのイエローストーンが噴火準備をしており、人類の滅亡につながる怖れがあると、科学者が警告を発しています。

さらにもっと大規模の噴火が、2億5000年前にあり、地球上であった5回の生物大絶滅のうち、
最大規模の絶滅を引き起こしたのではないかと言われています。

クライシスノベルの代表格は小松左京の『日本沈没』でしょうが、
あの現象は、過去に日本で生じたことはありません。
しかし、『死都日本』が描くカタストロフィは、過去に何度も生じています。
SFではないのです。

『死都日本』をきっかけに、災害に興味を持ち、あれこれと調べてみるうち、
だいたい次のような考えを抱いています。

1.過去に起きなかった災害は未来にも起きない。
防災は「歴史」である。
歴史を粗末にすれば、破滅あるのみ。
災害の種類や規模は、地域ごとに固有である。

2.神話に対する解釈(石黒さんの説)
神話はフィクションではない。
天地創造、神の描写は、過去の巨大災害を表現している。
という石黒さんの説は、おおいに検討する価値がありそうです。

3.災害に強いのは「高台」である。(石黒さんの説)
沖積平野を石黒さんは強く責めています。
沖積平野に都市を建設するのはテロ行為であると。
それは、阪神大震災でも、東日本大震災でも、他の様々な災害でも明らかです。

4.千年、万年の国づくり(石黒さんの説)
『死都日本』で、最後に提示されます。
めったに起きないことだから考えないことにしよう、ではなく、
千年、万年の災害にも耐えうる国づくりをしようではないかとのことです。
そんな発想をしたことがなかったので、衝撃的でした。

5.防災とは、「逃げる」ことである。
大災害と闘うことなどできません。
地球規模の災害以外は、逃げることができれば、確実に助かります。
火砕流にのみ込まれて生き延びる方法などあり得ません。
しかし、逃げれば100%助かります。
土石流、洪水なども、逃げさえすれば、100%助かります。
地震も、逃げることができるなら、100%助かるでしょう。
つまり、「なぜ逃げないのか?」が究極のポイントではないでしょうか。

6.自然に対する敬虔な態度。
科学がいかに発達しようとも、災害を完全に予知したり、
防いだりすることはおそらく不可能でしょう。
むしろ、科学への妄信が被害を拡大したケースが散見されます。
科学を否定するのではありません。
「科学への妄信」を戒めるのです。

7.災害が恵みをもたらす。
災害は忌み嫌うばかりではありません。
災害こそが、私たちに大いなる恵みをもたらすのです。
上手につきあっていくことこそ、人類の知恵ではないでしょうか。

家ではモモさんが子どもたちに自分が阪神・淡路大震災の時にボランティアをしていた時のことを話すことが度々あります。

7月に神戸方面に行くことになり、せっかく行くならば…ということで、

阪神・淡路大震災のことをよく知ることができる『人と防災未来センター』へ行って来ました。

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入館料大人は600円かかる(小・中学生は無料です)のですが、私たちが行ったときは夏季サービス?で、半額で入ることができました。

見学は一応コースがあってその流れに沿って見ていきます。

一番最初の震災追体験フロア(4階)にある「1.17シアター」という地震破壊のすさまじさを映像と音で体験するコーナーで、4年生の次女があまりの恐ろしさに途中から私にぴったり体をくっつけてきて固まってしまいました。(途中で退場することももちろんできるようですし、被災体験のある方や妊婦さん、小さなお子さんには刺激が強いのでこのシアターの見学はとばすことはできます、という案内は事前にあります。)そのコーナーから終ってでてきても、恐怖のあまり顔が蒼白していたので、しばらく休憩することにしました。

10分くらい休むと少し顔色もましになってきたので、次のコーナーへ。映像で復興までの道のりのドラマを見たり、震災の記憶フロア(3階)に移動して被害状況の映像や写真、ジオラマ模型、資料などを見学しました。

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「東海・東南海・南海地震による津波の記録」を示すたれ幕も。東南海・南海地震が発生した場合に想定される津波は15メートル(政府が想定している最大の高さ)だそうです。

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防災・減災体験フロア(2階)では子どもにもわかりやすく災害や防災について学べるゲームや体験装置がありました。

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実験ステージにて、「液状化現象」の説明や建物を倒れにくくするためには“すじかい”があるだけでぜんぜん違うことなどをボランティアスタッフさんから聞きました。

長男はスタッフのおじさんから「これからはおにいちゃんが、お父さんお母さんを助ける番だよ」と言われていました。

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この後は水害の映像を見たりしました。私は子どもの頃に水害の被害を自宅で受けたことがあるので、そのことを思い出したりしました。

また東日本大震災の被災地ドキュメンタリーの映像上映もやっていたのですが、今回は時間の都合でパスしました。

この日は土曜日だったですが、私たちの他に来られていた人たちは団体さんが数組、個人の方も数組という少なさでした。貸切状態でとても見学しやすかったのですが、もったいない気もしました。

2年生の三女でもわかるかと思い、センター長をされている河田惠昭先生の書かれた「にげましょう」(共同通信社)という本をミュージアムショップで購入しました。

この本のメッセージはただひたすら『にげましょう』ということにつきます。

私たちは普段自分には起きたことがない想定外の出来事に遭遇した時に「逃げる」という行動が実は一番難しいのかもしれません。

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